肝機能の改善、生殖機能の向上・回復、関節リウマチや関節症にも有効 矢澤 一良 著 文庫サイズ・48頁 まえがき —— 新たな「オメガ3脂肪酸」の登場 「クリルオイルの機能性についてお尋ねしたいのですが」 ここ数年、そうした問い合わせが私のところに各所から寄せられています。
クリルオイルというのは、海中を浮遊している動物プランクトンの一種「オキアミ」から抽出した油のことです。
その研究はまだ始まったばかりですが、専門家のあいだでは「素晴らしい新素材が見つかった」という確信に満ちた期待が湧き上がっています。
もちろん、私もその一人です。
なぜ、新参者のクリルオイルに、これほど熱い視線が注がれているのかというと、そのキーワードは「オメガ3脂肪酸」にあります。
オメガ3脂肪酸は、魚の油に豊富に含まれている機能性成分で、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)はその代表です。
DHAは脳にいい成分として、EPAは心臓にいい成分として広く知られ、すでにサプリメントの世界ではスタンダード食品となっています。
オメガ3脂肪酸は、海洋生物全般に含まれていますから、当然、クリルオイルにも含まれています。
しかし、単にオメガ3脂肪酸を含んでいるだけなら、いまさら大きな話題にはなりません。
クリルオイルが注目されるのは、きわめて特殊な形でオメガ3脂肪酸が含まれている点です。
一般の魚油に含まれているオメガ3脂肪酸が「トリグリセリド結合型」であるのに対し、クルオイルは従来のトリグリセリド結合型に加えて、「リン脂質結合型」のオメガ3脂肪酸を含んでいるのが最大の特徴です。
リン脂質結合型オメガ3の効果は本文で詳しくお話ししますが、従来のトリグリセリド結合型を超える特性および効果がいくつも報告されています。
つまり、クリルオイルは、魚油の効果を踏襲しながら、それを上回るパワーを秘めているのです。
多くの専門家が注目している理由はここにあります。
私自身、魚の油に豊富に含まれる「オメガ3脂肪酸」の研究に着手してから二十年以上の歳月が経ちました。
DHAについては、1990年にマグロの目玉の後ろの脂肪(眼窩脂肪)にDHAが多く含まれることを発見し、その翌年にDHAを高純度に精製する技術を開発。
これをきっかけに一気にDHAの生産量が増し、DHAに関する研究が世界レベルで進みました。
当時の研究データは、魚油を研究している長老(!)たちにとっては、今さら語る必要もないスタンダードなものなのですが、私が教鞭をとっている大学の学生たちに話すと非常に感動します。
自分たちが生まれた頃、すでに科学的なデータが揃っていたことに驚くようです。
この経験から、時代はつねに移り変わっていることを意識し、大切なことは語り継いでいかなければならないのだと実感しました。
クリルオイルの登場が、オメガ3脂肪酸を見直す新たな契機となり、より多くの人の健康に寄与することを心から願っています。
目 次 —— まえがき−新たな「オメガ3脂肪酸」の登場 第1章 オメガ3の新たな補給源 ・オキアミから見つかった新素材 オキアミとは 当初はたんぱく源として注目 ・クリルオイルの研究の経緯 90年代に抽出法が確立 ・オメガ3の補給源として最適 クリルオイルの4つの特徴 海の食物連鎖でオメガ3蓄積 オメガ3の健康効果 ・オメガ3食品の中でも圧倒的人気 オメガ3の人気は止まらない クリルオイル市場が拡大 第2章 クリルオイル特有の効果 ・オメガ3+リン脂質のパワー クリルオイルの第2の特徴 クリルオイルの脂肪酸組成 ・体内に吸収されやすいしくみ 魚油とクリルオイルの違い リン脂質結合型のオメガ3 ・リン脂質の効果もプラス リン脂質の効果 大豆レシチンとの違い クリルオイルの利点 魚くさいゲップも出ない ・オメガ3の酸化を防ぐ成分も含有 アスタキサンチンのパワー 〈コラム〉クリルオイルのオメガ3の体内動向 第3章 こんな症状にクリルオイルを ・高脂血症の改善に役立つ 人を対象とした研究 魚油との比較でも圧勝 ・肝機能を改善する効果 AST、ALTが改善 クリルオイルの効果のしくみ ・生殖機能の向上・回復に最適 性欲の向上、精子の改善 ・脳の老化防止、認知症対策に DHA+リン脂質の効果 動物実験のデータ 魚油より高い健脳効果 ・心筋梗塞の予防に最適 オメガ3が心臓を守るしくみ 魚油より高い効果が期待 心筋梗塞のダメージも抑制 ・関節リウマチ、関節症にも有効 海外の臨床試験 ・こんな効果も期待できる 【月経のトラブル】 【糖尿病の合併症】 【アレルギー性疾患】 【脳梗塞】 【高血圧】 【精神疾患】 【ハート出版ふるさと文庫】オキアミ由来の新型オメガ3、クリルオイル